補助金の設備(装置)見積で知っておくこと

中小企業様におきましては、申請書作成を担当されている多くは技術者であり、日常業務の合間に膨大な申請書作成に当てられているのがほとんどです。

①予算計画時の「概算見積」で後悔する

  • 計画書申請時の設備(装置)価格は、採択前なのだから、とりあえず「概算見積(定価見積)」でもかまわないと、安易に考える場合が多いです。しなしながら公的補助金制度の中には、採択後に申請時の設備(装置)価格±10%以上の変動がある場合、計画書の再提出が必要となる場合があります。結果、計画書の再提出は事業管理法人も避けたいので、価格の交渉の余地があるにも関わらず、また追加の仕様決めで金額が大きくなったとしても、計画書作成時の「概算見積」の日付を変えた見積を採択時にもそのまま引用することになります。

②設備機器の相見積

  • 採択後に、申請した装置価格が適当なのか、正当性の裏付を証明するために、複数社からの相見積を 取得する必要性があります。「複数社への依頼」、「価格交渉」「見積再取得」の工数が予想され、精査を行う時間が取れないのが実情です。

③サポイン採択後の時間の制約(採択初年度のタイムテーブル例)

  • 7/末中小企業庁のHPで採択企業の発表
  • 8/末方面の経済産業局にて契約、契約通知書が発送
  • 8/末契約通知書の日付以降で、装置等の発注(契約前の先行発注はNGです)
  • 11/末納期3カ月の装置が納品(最長でも翌年1月末までに納入が必達)
  • 1/末全ての納入品の締日(納入書必要)
  • 2/末事業管理法人より、仕入先に金額が支払われる(月末締め翌月末支払)
  • 3/末事業管理法人が初年度精算書を経済産業局に提出
  • 注目するのは初年度の装置納入が11/末だと、3/中旬には初年度に研究報告書を完成させることもあり、実質3カ月しか装置を使った研究ができないことになります。また7/末に採択をされてから、方面の経済産業局と契約を交わすのに、申請時の計画書をベースにした契約書を作成しなくてはなりません。契約書は労務費、諸経費(交通費・雑費)、そして装置の詳細な見積書が必要となります。曖昧な数字では経済産業局のプロがチェックするので、何度もやり直しを強いられます。2週間で契約書を交わす企業もあれば、2カ月近く時間がかかる企業があります。契約締結までの時間のロスが大きいと、装置の発注遅れ、装置の納期遅れ、そして初年度の研究未達の結末となります。